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住まいのコラム

人口減・家余りの行き先は?

2022年07月13日

さいたま市での不動産の売却・購入から居住後のアフターケア・リフォームまでワンストップのくさの工務店です。

6月3日に厚生労働省が2021年の出生率が6年連続低下で1.30だったと発表しました。
2021年の出生数は81万1604人で前年より2万9231人減少し過去最少を更新したそうです。
日本は極端な少子高齢社会となっており、人口減少を原因とする社会問題が顕在化しつつあります。
人口減少時代のこれからの住宅について考えてみたいと思います。

人口問題は一朝一夕には解決しない

日本が直面している人口減少問題には特効薬はありません。
出生数を増やすか移民を受け入れるくらいしか策がないのが現状です。
経済的負担を無視して仮に2022年に第3次ベビーブームが発生したとします。
しかし今から産まれる子供の数が増えたとしても、その子供達が社会に影響を及ぼすまでに20年くらいかかります。

人口減少問題になると必ず移民の話が出ますが、労働力としての移民をイメージする人が多いように思います。
しかし人口問題を解決するくらいの移民は、日本人と対等な立場での移民が前提となり、歴史から見ても今の日本人に受け入れられるとは思えません。
もっとも以前と違って現在の経済状況では日本は海外の労働者から見てそれほど”おいしい”市場でなくなっているのも無視できません。

15歳から64歳の人口を生産年齢人口と呼びます。
対処療法でしかないのですが、生産年齢人口を74歳まで拡大することで、経済的に影響する人口を増やすことができます。
バランス的に多すぎる高齢世帯での経済活動を生み出し、そこで稼いだ時間で拡大した社会の縮小均衡を図るといったところでしょうか。
※定年後の新しい労働市場を作らないといけないので容易ではありませんが、人口が多い年代となるので、定年後の働き方改革はこれから国が重要課題として取り組む可能性が高いと思います。

使いどころのない住宅が増え続ける

住宅は読んで字のごとく住むためのスペースです。
人が減るということは住宅もその分不要になるわけですが、現行の制度では更地にすると固定資産税が上がってしまうので、売ることも貸すこともできない家は空き家のまま放置されることになります。

今の高齢者層が現役だったころはまだまだ住宅が足りず、都心部から郊外に向けて開発が進んでいったわけですが、人が減り続ける日本では再び都心部に人口を寄せるタウンマネジメントが必要で、語弊を恐れず表現すると田舎を捨てて都心部に集まろうという政策になるので、当然ながら郊外に住む人には受け入れがたい方針となります。

立地適正化計画などで自治体レベルでの対策が始まっていますが、中身を見ると有効な計画とはほど遠いものが多く、無駄に時間が消費されるだけです。

そうこうしているうちに道路、水道、ガス、橋などのインフラが更新時期を迎えてしまい、予算がないため対策を講じることができないものの、その地域の住民を見捨てることはできないので、自治体の財政がどんどん苦しくなっているのが現状です。

既に街レベルでどうこうできるものでなくなっていて、市の統廃合や県をまたぐ大胆な計画を実行しないと、縮小する日本経済で、社会を維持するコストが賄えなくなるのは目に見えています。

人が減り続け家が余り続ける現在の日本においても新築住宅の供給が止まることはないので、使わなくなった住宅を住む以外での活用法を見出さないと、本当に街として機能しなくなる恐れがあります。

リノベーションの次はコンバージョン

日本の住宅性能は年々向上しているので、かつてのように20年~30年住むとボロ屋で使えなくなるのではなく、適切に手入れをすることでこれまで考えられていた住宅の寿命を伸ばすことができます。
住宅の状態にもよりますが、それほど大きなコストをかけなくても長く使える中古住宅も多く、近年は戸建ての中古住宅流通も活発になっています。
しかし人口減少が改善する兆候すらない状況では、空き家に対して需要が全く追い付かず、
住宅が不要になっても売ることも貸すこともできない状況に陥ります。

中古住宅をリノベーションして活用する動きの次は、これまで住宅として利用したスペースを別の目的で活用するコンバージョンの動きになると思われます。

「住む」という概念から脱することができていないので、あまり良い例とは言えないのですが、空き家になった古民家を改装してシェアハウスや民泊で利用する事例が増えています。

少し前に政府が良くアピールしていた「2地域居住」も、郊外の家は住むためではなく、観光や農業としての目的が強いので、利用目的の変更であるコンバージョンと同じ区分になると思います。
2地域居住が流行れば、これまで1家族1住戸だったのが2住戸・3住戸と増えていくので空き家問題には最適に思えますが、住宅を一つ持つだけでも負担が大きいので、一般化するかというと期待はできず、ごく限られた利用に留まりそうです。

それでも海や山など観光資源のある街であれば観光としての活用が見込めそうです。
しかし普通の住宅街にある普通の住宅はどうでしょうか。
そもそも人が減る街なので商店などには不向きな立地となります。
何かの生産拠点にするには狭すぎます。
このようにどうにも上手い活用方法が見出せないのが現状です。

しかし家余り問題を乗り切るには、「住む」以外の利用方法を考え出す必要があり、これは行政に任せる問題ではなく、住宅(特に郊外)を所有している人が抱える難問と言えます。

都市部ではなく郊外を選択する人は将来についてよく考える必要があります

日本が抱える社会問題なので、人口減家余りに対する答えを本記事で提示することができません。
しかし、少なくともこれから家を買う人には有効なアドバイスができます。

「家を買うなら将来に渡って人が増え続ける街を選びましょう」

人が集まるエリアであれば、将来不要になった時に売ったり貸したり、資金化ができます。
人が減り続けるエリアを選んでしまうと、住宅を資金化できません。

今でさえ老後の資金問題がニュースになるくらいですから、10年~20年後はもっとリアルな問題になります。
子育てが終わった家は売ったり貸したりして、高齢期を生きる資金として活用しないとやっていけない、そんな状況が容易に想像できます。

終の棲家と言っていたかつての価値観は失われつつあります。
これから家を買う方は、今だけ見て安易な判断を行うのではなく、将来売ることができる家なのかをしっかり検討したいものです。

 

~人生に愛すべき住まいを~

さいたま市の不動産の売却・購入は、くさの工務店にご相談ください。

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